近年、宍道湖に浮かぶ観光名所「嫁ヶ島」のクロマツが衰弱してきたため、松江市の依頼を受け、平成20年より樹勢診断や回復処置方法の提案、地元環境保護団体の樹勢回復作業の技術指導等を行ってきた。
現地調査の結果、クロマツの生育上の問題として
隠岐の島町で天然記念物に指定されている樹木のモニタリング調査を、教育委員会から依頼を受け、平成23年度から行っている。
平成27年度にモニタリング調査を行った天然記念物
出雲大社神門通り道改修工事に伴い、街路樹クロマツの根系発達状況や樹勢について調査を行った。
歩道部下の根系調査は、敷設されているインターロッキングブロック舗装や植枡枠を取り除き、その下に伸張している根系を掘り出し調査を行った。
根系の掘り出しは、根を傷めないために、手掘りで慎重に行うと共に、エアースコップを用いた。また、掘り出した土砂は周辺の美観や作業効率を考慮して、バキュームカーによる吸い取りを行った。
近年、道路脇に植栽されている街路樹の大木が倒壊し、死亡事故や物損事故が発生しており、その対策が課題となっている。
しまね樹木医会では、危険木診断技術の向上を図るため、さまざまな研修を重ねるとともに、県内の一部の街路樹について危険度診断を行っている。
以上が一般的に行なわれる簡易診断であるが、必要に応じて「ドクターウッズ」等の診断装置を用いた精密診断を行っている。
主な調査項目は
神社仏閣や史跡などにおける倒木等の被害発生が危惧されるなか、通常の診断では解明できない貴重な老齢大径樹の診断については、精密内部腐朽診断器具「ドクターウッズ」等を用いて総合的に診断し、その対応処置方法について提案を行っています。
これまでは、市民に親しまれていた貴重な樹木が、安易な診断により伐採処分されていましたが、より細やかで正確な調査診断を実施し、複数名の樹木医で多面的に解析する事により、種々の樹勢回復法を提案したり保護育成に努めています。
一方、老齢衰弱樹木や重大病虫害罹樹木については、倒木等の被害発生を憂慮し、残念ですがその最期を判定する事も、樹木医としての責務です。